硬質クロムメッキの膜厚
硬質クロムメッキの被膜は、複雑な形状に対して均一な厚みで、析出させることが難しく、凸部にメッキが多く析出し、凹部に少ししか析出しない傾向が他のメッキより大きいです。いわゆる均一電着性が悪いというのが硬質クロムメッキの特徴で、めっきの膜厚の均一化が難しい要因です。
そのため、製品の寸法や精度を保ちメッキ膜厚を一定に仕上げるための、治具や補助陽極の製作が必要です。製品の凹んだ電流密度の低い部分に補助陽極を取り付けたり、製品端部の高電流密度部でメッキが焦げるのを防ぐため、電流の逃がしとして補助陰極を取り付けたり、高電流密度部付近の陽極と陰極の間に遮蔽板を取り付けたりすることが必要です。
山旺理研では基本膜厚が10μ~30μのシャフト量産品の加工を山旺理研では多く受注しており、多品種製品対応が可能な縦吊り式メッキライン8ラインにより、お客様の製品に適合するライン選定し、硬質クロムメッキの膜厚均一性の要求に耐えられる生産体制を構築しています。硬質クロムメッキの膜厚を均一にするため、電流密度分布の改善技術のノウハウを駆使しています。
また、山旺理研北名古屋工場では300µm程度までの硬質クロムメッキを行っております。50µm~100µmの「厚メッキ」は10時間前後電気を流し、100μ~300μの「肉盛りメッキ」は1日程度電気を流します。ただし、厚メッキや肉盛りメッキをつける場合、膜厚の均一性やバリ、ピンホールに留意する必要があり、メッキ後に研磨されることも多いようです。逆に厚くせず、硬度と防錆を目的として3µm程度の薄い皮膜の硬質クロムメッキの場合もあります。