処理分野①:油圧シリンダ、空圧シリンダの外径への硬質クロムメッキ
山旺理研が一番得意としている分野は、シリンダ外径への硬質クロムメッキ処理です。
油圧シリンダは、フォークリフトなどの業務用車両に多く使われ、フォークの上下運動や角度調整のためのピストンロッドに硬質クロムメッキが施され使用されています。
空圧シリンダは各種製造業における省力化・自動化ラインの各機械に数多く使用されています。
油圧シリンダ・空圧シリンダへの硬質クロムメッキに付加される機能として「高硬度」、「耐摩耗性」「潤滑性」があげられます。油圧シリンダ・空圧シリンダには傷がつくと事故につながるため「高硬度」が求められ、ピストンロッドとシリンダは伸縮を繰り返し何度も摩擦するため「耐摩耗性」が求められます。シリンダとピストンとがスムーズに動くための「潤滑性」も求められます。
油圧シリンダ・空圧シリンダへの硬質クロムメッキの加工は山旺理研独自の自動機ラインで、メッキ液の組成や温度管理、電気量、浸漬時間等をデータ化して行っています。また、シリンダやピストンロッドのワークを縦吊りにして硬質クロムメッキ加工します。ワークを縦吊りにすることでシリンダやロッドの円周上に均一なメッキ加工を施すことが可能になります。横吊りでは、メッキの析出時に陽極に対しワークが垂直方向の配置になり、真円に均一なメッキをつけることが困難です。X軸とY軸のバラツキをなし真円にする加工ノウハウが重要です。
また、各ハンガーにより少量多品種生産に対応できるよう毎回、加工するワークの種類を変えてメッキ加工することも可能にしています。そのために多数のメッキ治具を保有しています。シリンダ及びピストンロッドの両端部は電気の流れの特質上、強電部となりメッキ膜厚が厚くなる傾向があります。そのバラツキを抑えるために「メッキを逃がす」(電気を分散させる)ことによりメッキ加工範囲の端から端までメッキ膜が均質な硬質クロムメッキ加工を行うことできます。この「メッキを逃がす」技術はベテラン職人による微細な調整ノウハウ、長年の経験が可能にする技術です。
さらに硬質クロムメッキ加工前後のバフ研磨においても様々なシリンダの外径寸法に対応できるよう、様々な太さと長さに対応できるセンタレス連続バフ研磨機を配備しています。製品ごとに指定された寸法に収まるようにメッキ加工時に充分な膜厚を出し、依頼内容の寸法公差に収まるように後過程でも寸法調整をしています。