メッキの剥離(はくり)
メッキ業界での「剥離」という言葉には、不良原因の名称としての「剥離不良」と、工程(手段)としての「剥離方法」という2つの意味がありますので下記では、それぞれの「メッキの剥離」について説明をします。
①硬質クロムメッキの「剥離不良」とは
硬質クロムメッキの剥離不良原因には大きく分けて2種類あります。ひとつは硬質クロムメッキにクラック(ちいさな割れ)があり、経年するとその部分から腐食物質がクラックに入り、クラック内で腐食が始まり、素材に到達し、腐食が広がりメッキ膜が剥がれる不良の場合です。もうひとつは、メッキ前の下地処理が不十分であり、メッキ膜と素材との密着度が低いため剥離不良が発生する場合です。
②メッキの「剥離方法」とは
メッキを行った部分が摩耗し傷がついた製品や、劣化した製品、サビてしまった製品にもう一度メッキ処理をすることで再度利用する場合等にメッキ部分を一旦すべて剥がす剥離工程が必要になります。(その後、バフ掛けなど下地処理が必要)
山旺理研では、素材によって硬質クロムメッキの剥離の方法として3手法を用いています。
・苛性ソーダと逆電で剥離を行う
・塩酸の混合液で剥離を行う。
・エッチング(腐食作用を利用した表面加工)処理を行う。
無電解ニッケルメッキの剥離方法も、材質により上記の方法を使い分けています。メッキの剥離には、素材を傷めないように、薬液、電流時間の調整に留意が必要です。