硬質クロムメッキの不良の症状
メッキ条件、メッキ浴の液管理、治具・マスキング材のメンテナンス、メッキ前の下地バフ工程条件など様々な要因がクロムメッキ不良に起因します。メッキ前に製品にサビが出てしまうこともあるため、湿度や気象条件、製品の保存状況にも大きく影響してきます。硬質クロムメッキの不良として以下の症状があります
・ザラ
硬質クロムメッキした表面にザラが発生することがあります。素材の加工時の鉄粉等が取り込まれ表面にザラが発生します。ザラが発生しないようにメッキ浴を濾過等により洗浄しています。
・クラック
クラック(割れ)は、硬質クロムメッキ反応中に自然にクラックが発生することも多く、内部応力によるものです。クロムメッキはある厚さまでは割れない滑らかなメッキができますが、内部応力がクロム分子相互の引き合う力以上になると割れが発生します。クラックの数や太さは浴の種類、温度、電流密度などメッキ条件により異なります。サージェント浴において、クラックの発生しない最大の厚さは0.25μm程度です。
・バリ
不良としてバリが発生します。鋭角部にはメッキが厚くつきバリが出やすくなります。隅部には、メッキがつきにくく、複雑な形状の場合には治具の製作が必要となります。
・打痕
打痕は、運搬時や冶具の取付・取外し時に発生します。キズが付かない運搬方法や仕組みが構築されているかが重要ですが、丁寧に扱う作業を心がけているかということが大切です。もちろんメッキ工程は人が携わる作業ですので人的要因による打痕傷や擦り傷などもあります。